大会長挨拶:グローバルヘルス合同大会2020

大会長挨拶

この度、グローバルヘルス合同大会2020を、2020年11月1日(日)-3日(祝・火)、大阪大学吹田キャンパス(コンベンションセンター、銀杏会館)において開催することとなりました。

グローバルヘルスに関する合同大会は、1999年に日本熱帯医学会と日本国際保健医療学会が「21世紀の熱帯医学と国際保健医療協力」のテーマのもとで国立国際医療センター(当時)において開催された学会を嚆矢とします。その後、北九州、長崎、東京などで、2008年以降は3年ごとに2学会による合同大会が開催され、2017年には日本渡航医学会が参加し3学会での合同大会となりました。

2020年は国際臨床医学会に新しく参加いただき、初めての4学会での合同大会、初めての大阪での開催となります。外国人が日本各地で居住し、訪日外国人数は過去最高を記録するなかで、国内外において異なる背景をもつ4つの学会が各々の専門性を堅持しつつ成果を共有する機会にしたいと思います。グローバルヘルスの時代にあって、高度専門医療を追求するだけでなく、専門分野の垣根を超えて協働することが求められています。

今回のテーマは、「チャンプール! 交じる、つながる、支えあう」。チャンプール(Campur)とは、インドネシア語で「混じりあう」という意味です。アジアの船乗りたちが交易で使う言葉が沖縄にわたって、「チャンプルー」になったという説があります。文字で歴史を綴る前から、海や陸を越えて人と人は、交じり、つながり支えあってきました。交じることから何か新しいことがはじまり、支えあう関係性に発展することは、持続可能な開発目標(SDGs)17「パートナーシップで目標を達成しよう!」にもつながります。

世界各地で仕事をしていると、日本の社会全体の閉塞感に危機を感じています。グローバルヘルス合同大会が、「チャンプール」を合言葉に専門分野に捉われない出会いと学びが惹起し、未来につながる知的刺激にあふれたワンダーランドになることを切望しています。

2020年3月吉日
グローバルヘルス合同大会2020

第61回日本熱帯医学会
金子  明(大阪市立大学)
第35回日本国際保健医療学会
中村 安秀(甲南女子大学・日本WHO協会)
第24回日本渡航医学会
南谷 かおり(りんくう総合医療センター)
第5回国際臨床医学会
中田  研(大阪大学)

第61回日本熱帯医学会大会 大会長挨拶

第61回日本熱帯医学会大会大会長:金子 明(大阪市立大学)

熱帯医学では、結核、HIV/AIDS、マラリアの3大感染症とともに、現在20の疾患が挙げられる顧みられない熱帯病(NTDs)が重要な研究対象となっています。NTDsには、シャーガス病、アフリカ睡眠病、デング熱など、喫緊の治療薬、ワクチン開発が望まれるものもあります。しかし多くの疾患では予防・治療を可能にする製品があるにも関らず、流行地住民のそれらへのアクセスの問題が存在し、看過できない病弊が続いています。これには保健医療サービスのデリバリーと共に、住民がいかに認識し受け入れるかという側面があります。本合同大会では、このアクセスの問題を様々な視点、立場から検討したいと思います。

大阪市大医学部キャンパスは、あいりん地区に隣接します。当地では生活保護者、日雇い労働者を中心に、開発途上国なみに高い結核発症率が続いています。その対策に奮闘する西成区特別顧問の下内昭先生は治療対象者が継続的に薬を飲んでくれないことが一番の問題だと報告しています。また流入してくる外国人の結核治療が新たな問題となっています。

20世紀中に人類は、天然痘を根絶しました。その偉大な事業においてWHOで中心的な役割を担った蟻田功先生は、成功の転機は、サーベイランス強化と封じ込め作戦というワクチン接種戦略の転換であったと述べられています。21世紀中にマラリアは根絶されるでしょうか。1955年開始の世界マラリア根絶計画はmagic bulletはないことを教えてくれました。今WHOはマラリア根絶の道程における絶え間ないイノベーションの必要性を強調しています。これには新製品開発とともに、既存の製品の新たな使い方、展開戦略を含みます。

今から35年前いまだ駆け出しのころ、私はインドネシア北スマトラのアサハン県に居ました。中村安秀先生も同じチームに居られ、日夜同じ釜の飯を共にしながら村々を回っていました。それは我々の原点であり、合同大会テーマとして中村先生がチャンプールというインドネシア語を提案された時、わかりにくいかなと危惧しながらも即座に賛同した次第であります。その言葉には、多様なものが混じりあいながら、協力しあい、輝きを増していくという意味が含まれると勝手に解釈しています。本合同大会が、若手の皆さんにとって、今後のグローバルヘルス研究への水先案内人となることを期待します。

第61回熱帯医学会 大会長
大阪市立大学 金子  明

第35回日本国際保健医療学会学術大会 大会長挨拶

第35回日本国際保健医療学会学術大会大会長:中村 安秀(甲南女子大学・日本WHO協会)

第35回日本国際保健医療学会学術大会を「グローバルヘルス合同大会2020」として、2020年11月1-3日に大阪大学吹田キャンパスにて開催させていただきます。実は、2007年10月に大阪大学大学院人間科学研究科において第22回学術大会を主催させていただきました。今回は4学会が合同するのは初めて、しかも大阪での初めての合同大会という、にぎやかなおめでたい席に再登板させていただき、誠にありがとうございます。

日本国際保健医療学会が日本熱帯医学会と最初に合同大会を開催したのが1999年です。以来、今回が8回目の合同大会となります。今回は「持続可能な開発目標(SDGs)」の目標3だけでなく、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう!」に着目しました。高度専門技術が発展するなかで、組織間や産業間で情報が行きかう横のつながりがなければ、良い技術や経験が埋もれかねないという「サイロ・エフェクト」に警鐘が鳴らされています。

どうぞ、この合同大会の機会を活用して、他の学会の先生方の発表や議論に耳を傾けて、ご自身の研究や活動の新たな気づきをもらってください。「混じることから、新しい何かが始まる!」。グローバルヘルスに邁進してきた4つの学会が相まみえる合同学会が、専門分野 の垣根を超えて協働するための出会いと学びの場となることを期待しています。

多くの皆様のご参加を心からお持ちしております。

第35回日本国際保健医療学会学術大会 大会長
甲南女子大学教授・日本WHO協会理事長 中村 安秀

第24回日本渡航医学会学術集会 大会長挨拶

第24回日本渡航医学会学術集会大会長:南谷 かおり(りんくう総合医療センター)

第24回日本渡航医学会学術集会を2020年11月1(日)〜3日(火祝)に大阪大学吹田キャンパスにて、初めて4学会合同で開催する運びとなりました。吹田キャンパスは大阪中心部より離れていますが、世界77か国が集まり6400万人を超える人々の交歓の場となったEXPO’70万博記念公園の隣に位置し、今年50周年を迎える「太陽の塔」は会場から歩いて行ける距離にあります。大阪はEXPO’25の開催も決まり、今後益々外国人観光客の増加が見込まれます。

私は西日本の国際的な玄関口である「関西国際空港」の対岸の病院で14年前から外国人医療に携わっていますが、11歳から15年間ブラジルで過ごした経歴が現職の誘因となりました。しかし出身は大阪府堺市で帰国後もずっと大阪在住でしたので、合同大会が今回ホームタウンで開催されるにあたり大会長を仰せつかったことは身に余る光栄であり、同時にその責任の重さには身の引き締まる思いです。

本年は記念すべき東京オリンピック・パラリンピックイヤーであり多くの人々が渡航するという観点から、日本渡航医学会では国際的なマスギャザリングにおける感染症対策について以前から話し合われてきました。その矢先に年明け早々中国で旧正月の移動に伴い新型コロナウィルスが拡散したことは、世界保健機関(WHO)が1月30日にジュネーブで「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」と宣言するまでに至りました。日本でも渡航医学会のメンバーである感染症専門の医師たちが次々とメディアを通じて解説する事態となり、あらためてグローバル社会における当学会の重要性を再認識した次第です。

今回のグローバルヘルス合同大会2020では、国際的な視野を持つ4学会が共同でテーマごとに課題を抽出し、問題解決に向けて皆で話し合えるよう企画しています。三人どころか四人が寄って文殊の知恵を出し合おうというのです。それぞれの得意分野を持つメンバーたちが集まることで、新しい気づきやプロポーザルが生まれることを期待します。11月2日(月)の平日を挟んでの開催となりますが、大阪大学に通学、または勤務している人たちの空き時間での参加も歓迎します。

多種多様の人々が混じり、つながり、支え合うことで、誰もが暮らしやすく共存できる社会をSDGsの持続可能な目標を見据えながら、皆で築き上げていけることを願っております。

第24回日本渡航医学会 大会長
りんくう総合医療センター 南谷 かおり

第5回国際臨床医学会学術集会 大会長挨拶

第5回国際臨床医学会学術集会大会長:中田 研(大阪大学)

このたび、第5回国際臨床医学会学術集会を「グローバルヘルス合同大会2020」として日本国際保健医療学会、日本熱帯医学会、日本渡航医学会、国際臨床医学会の4学会が初めて合同して、2020年(令和2年)11月1-3日に大阪大学吹田キャンパスにて開催させていただくことになりました。グローバルヘルスについて日本がどのように世界貢献を果たしていくか、ますます重要になりつつある2020年にこの合同大会を開催させていただきますのは大変名誉なことであり、機会をいただきました皆様に厚く御礼申し上げます。

国際臨床医学会は、急速に様変わりしつつある国際社会の中で臨床医学の分野において、現状の課題を捉えてその解決に向けた学術的、社会的活動を行い、日本のみならず国際的な貢献をめざして2016年に設立されました。まだ、歴史の浅い学会ですが、第1回学術集会から毎年参加者も演題数も増加し、学術集会での議論も活発になり学会誌も充実してきました。学術集会は第5回の節目を迎えますが、本年2020年は東京オリンピックパラリンピック開催も予定され、国を超えたスポーツ、文化、経済、政治などグローバルな活動はますます広がっています。医学、医療、健康の分野で日本だけでなく地球規模で考え、その中で日本が持つ「安全安心」「高いレベル」の臨床医学を進めるには、新しい研究や人材、システムが必要になっています。

日本が抱える医療国際化の課題には、訪日および在留外国人医療の身近な課題から海外や国際的な保健医療分野での活動、および、それらの基礎となる学術研究や人材育成、制度やシステム構築の課題など、非常に多岐に渡りますが、解決には多くの関係者やメンバーの協力が必要と考えられます。本合同大会では、国際医療、グローバルヘルスに関わる多くの学際領域を含む研究者、医療従事者、医療に関わる多くの職種、企業、行政、市民、学生、一般の方に至るまで、さまざまな人々の参加を心より歓迎いたします。

この「合同大会」でみなさまと一緒に新しい活動を通じて、新しい未来が拓けることを期待し、大変楽しみにしております。

第5回国際臨床医学会学術集会 会長
大阪大学医学部附属病院未来医療開発部 国際医療センター センター長
大阪大学大学院 医学系研究科 スポーツ医学、国際未来医療学特定講座 教授 中田 研